KYOTO * 通訳

an interpreter in Kyoto:京都にて、駆け出し通訳者の日々。

上賀茂神社 奉納劇「降臨」

こんなに美しく、感動した舞台は今まで観たことない...というほど、深い感動を味わいました。
 
上賀茂神社で第42回式年遷宮を記念して奉納物として創作された、宮本亜門作・演出の奉納劇「降臨」(初日公演)を観劇しました。劇が始まる前に観客も演者と一緒に宮司にお祓いを受け、終わりには一同まず本殿に向かって拝礼という(演者と共に観客も自然に頭を垂れていました)、集った人たちが共に「奉納する」形をとる、まさに「神聖な儀式のような」特別な舞台でした。  

 

神社の神楽殿を中心に作られた野外の特設ステージは、周囲は大昔からそこにある樹々、見上げると星月の夜空、秋の虫の音と境内の川のせせらぎが響く中、場の空気を生かしながら最新技術も取り入れた、なんとも幻想的な美しい演出で...。 
 
小雪のしっとりとした情感豊かな語り部もとてもよかったし、
 
そして何よりも、宮本亜門の演出は、そこに明らかに謙虚な「奉納の心」があったと感じられるものでした 。劇全体が上賀茂神社の神様と風土記への畏敬と祈りの念に満ちていて、観客の私もまるで「禊ぎ」を受けたような、心洗われる思いに。おそらくもう二度と再現されることのない、たった3日間の舞台。私にとっても、きっと生涯忘れ得ぬ出来事となりました。  
 
ところで、宮本亜門ってどういう方なんだろう、
東京オリンピックの開会式の演出は彼にしたらいいのではないか、と本気で思いました。先日の式年遷宮・正遷宮に参列した後の彼の言葉は「神様の存在を感じ、これまで生きてきて最も感動した」というものだったけれども、あのように、見えないものに対する畏敬や謙遜や奉納の心と、センス(←これ大事!今のオリンピック関連の諸々、センスなさすぎる...) で演出やってくれたらいいなぁ。あの舞台を創った方なら、新しい技術を使いつつもヘタにギラギラしない、日本文化の本質を世界に向かってわかりやすく表現するような厳粛で素敵な演出をしてくれるんじゃないか...この度の奉納劇「降臨」を観てそんな風に思いました。 
 
なんてことも思いながら、 
 
上賀茂神社・下鴨神社両方の式年遷宮の年、このタイミングで京都に住んでいる幸せをかみしめた夜でありました。   
  
 
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