KYOTO * 通訳

an interpreter in Kyoto:京都にて、駆け出し通訳者の日々。

映画『千年の一滴 だし しょうゆ』

やっと京都にもやってきたドキュメンタリー映画『千年の一滴 だし しょうゆ』を観ました。

 

他の地域でもそうだったのか、京都ならではだったのかはわかりませんが、京都ではこの映画は連日満席&立ち見だったということで、私も長い列に並び、立ち見でようやく鑑賞することができました。京都シネマに行列ができるという光景はいまだかつて見たことがありません。

 

 「フランス料理の主人公はシェフ。しかし和食は・・・日本列島そのものが料理人だ」というキャッチフレーズのとおり、昆布、かつお節、椎茸、酒、醤油を出汁のうま味という観点から深く掘り下げた日仏合作のドキュメンタリーです。

 

京都での上映ならではだったのは、おそらく観ていた多くの人にとって、劇中に「ご近所の知っているお店や人や風景」がたくさん登場することでしょうか。舞台挨拶として連日、澤井醤油本店主人の澤井さん、種麹屋「菱六」主人の助野さんが登壇され、興味深いお話を聞くこともできました。

 

私もお醤油は澤井醤油のものを愛用していて、いつもお店に入るとなんともいえないもろみのいい香りがするのがまた楽しみで通っています。映画では醤油製造の過程が映し出され、店の奥ではこんな作業が行われているのだなぁと、そういった意味でも大変面白く観ました。

 

極寒の北海道で作られる昆布。森を焼きながら絶妙な環境の森を作って育てる極上の椎茸。それらを出汁として使い、極上の料理に仕立てる京都祇園の料理人。みそ、醤油、 日本酒、みりん、酢など、和食の基本である調味料のそのすべてを可能にする、日本にしかないカビ「オリゼ」の神秘と美しさ。

 

枯れ木に花を咲かせましょう...  花咲か爺さんの物語と言葉。あれは「実話」だったのだということが映画を観るとわかります。

 

ほとんどの映画館上映は終わってしまっているようですが、自主上映が全国各地で行われているようですので、機会がありましたら本当におすすめです。

 

日本人であるならばそのことを感謝と感動をもって誇りに感じられ、外国の方が観たならば日本文化の奥深さを感じ取ってもらえるであろう、

 

そして観た後はきっと「お味噌汁」がいただきたくなる....

 

素晴らしい作品です。

 

写真は御所の南にある澤井醤油本店。

 

www.asia-documentary.com

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